文部科学省が調査した諸外国の公共図書館の実態


文部科学省が調査した諸外国の公共図書館の実態
文部科学省はイタリア、フランス、イギリス、ドイツ、アメリカ、カナダ、ロシア、中国、韓国、日本の公共図書館を対象に調査を行いました。調査は公立図書館の密度や数、運営費、制度など多角的に行われ、国や地域ごとの公立図書館の現状が分かります。今回は文部科学省が調査した諸外国の公共図書館の実態について紹介します。

公立図書館の位置づけと制度

まず、国ごとの公立図書館の位置づけを知ることが重要です。日本では国が公的に運営する図書館のことを指しますが、国によっては民間団体や教会が主体となって運営している事例もあるため、この調査では公立図書館を「広く一般市民の利用に開かれた図書館」として扱っています。
また、図書館が依存する制度に関しても多様で、日本のように国全体で共通の図書館法を定めているのは韓国、中国、ロシアで、法律が州単位で適用されているのが、イタリア、イギリス、ドイツ、アメリカ、カナダです。フランスは高等図書評議会が採択した「図書館憲章」によって設置・運営が定められています。運営団体や基礎的な制度に関する項目だけでも国ごとの特色が表れています。

公立図書館の運営団体

日本では図書館の運営は基礎自治体(市区町村)が基本的です。他の国も基礎自治体が公立図書館の管理・運営を行っています。イタリアは日本同様に基礎自治体による運営が主体で、ドイツ、カナダ、アメリカも基礎自治体が運営していますが、自治体の財政状況によってはさらに上位の自治体が支援を行っています。フランスは基礎自治体が公立図書館を設置して、国の地方分権化基金が配分されています。イギリス、中国、韓国は運営費が上位の自治体あるいは国の一部負担となっています。
また、自治体の運営が困難になったときや、サービスの向上を狙って適用されることのある「指定管理者制度」に関しても調査が行われました。日本ではTSUTAYAが佐賀県武雄市図書館の指定管理者となったことで物議を醸しましたが、世界的に見るとまだまだ全面的な民間委託は少なく、アメリカと韓国でいくつかの事例がある程度でした。諸外国には資金面、あるいはサービス面で優れた公立図書館が多いことの証左といえるのかもしれません。

年間利用者数

公立図書館の年間利用者数の比較では、日本の市区町村を基本にして諸外国の同規模の基礎自治体との比較を行っています。日本の公立図書館の利用者は県立図書館では30万人、政令市立で33万人、市立で15 万人、町村立で5 万人となっています。中国は68,256 人で町村立と同程度、イタリア4,573人、ドイツ9,703人、ロシア9,504人となっていて、日本の町村立以下の結果となり、図書館の数や自治体の規模などの加味するべき要因はありますが、日本の公立図書館の利用者が意外にも多いということが分かりました。イギリス76,960人、カナダ 139,489 人、アメリカ130,104人、韓国211,269人とあり、これらは市立と同程度といえます。

コンピューター設置率

現代においては欠かせない存在であるコンピューターの設置率に関しては国ごとの特色が見えてくる結果となりました。設置率の高い順に並べると、アメリカ99%、カナダ98%、韓国98%、日本82%、フランス53%、中国33%、ドイツ30%、ロシア2%という結果となりました。日本は高い順位となっていますが、アメリカやカナダ、韓国と比べるとWi-Fi環境の導入などが遅れているため、利用者が十分に使えるような環境が整っているとは言えず、まだまだ課題が残っているといえます。

おわりに

今回は文部科学省が調査した諸外国の公共図書館の実態について紹介しました。国ごとに制度や自治体の規模などが違うため、単純な優劣をつけるのは難しいといえます。あくまでひとつの調査結果として受け止めましょう。

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